はじめに 超伝導デバイスに対して磁性体を導入することによって、超伝導デバイスのさらな る高性能化が見込まれる。我々は磁性体を用いて超伝導ループへ磁束バイアスを与える超伝導位 相シフタを提案している。超伝導デバイスへ超伝導位相シフタを組み込むことによってバイアス 供給線数の削減や電流値の低減化につながり、低消費電力化が期待できる。我々はこれまで縦型 の超伝導量子干渉計(SQUID)と磁性合金薄膜 PdNiを用いたデバイスを作製し、超伝導位相シフタ の動作を確認した[1]。今回は PdNi が超伝導ループへ与える磁束バイアスの定量的な評価のため に、単独ジョセフソン接合を用いて磁性体が与える磁束バイアス量の評価を行った。 実験および考察 Nb/AlOx/Nb 接合プロセスを用いて長 方形状のジョセフソン接合を作製し、この接合周辺に PdNi 薄膜パターンを配置した。PdNi薄膜(膜厚 70 nm)の形成 は Pd と Ni の同時スパッタにより、パターンへの加工は Arイオンミリングによって行った。Fig. 1 は作製したデバ イスの顕微鏡写真である。今回用いた PdNiは Ni割合が 11 at%であり、ホール効果の測定からキュリー点(TCurie)は 110 K程度であることが確認されている。試料の 冷却は外部コイルによる有磁場冷却を行い、 磁場は TCurie より高い温度から印加した。こ れにより PdNi パターンの磁化を調整し、極 低温で接合が受ける磁場の大きさを調査し た。Fig. 2は接合面積 60 m×5 mの接合に 対し有磁場冷却を行い、臨界電流の外部磁場 依存性(Ic-Bex 特性)の評価を行ったものであ る。有磁場冷却時の磁場 Bcooling の大きさの 違いにより Ic-Bex 特性のシフトおよび変形 が見られ、磁性体が接合に与える磁場の大きさに違いがあることがわかる。現在、PdNiパターン による磁束バイアス量に関して接合寸法や測定方法を変えて、定量的な評価を行っている。 謝辞 この研究は JST-ALCA「低エネルギー情報ネットワーク用光・磁気・超伝導融合システム」、 ならびに科学研究費基盤研究 C(26420306)のもとで行われた。 文献 [1] 第 61回応用物理学会春季学術講演会 谷口他 17p-D4-13 Fig. 2 The difference in fraunhofer pattern by changing magnetic field during cooling process. 第 75 回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集(2014 秋 北海道大学)