ファンガスセラー試験は,保存処理木材の耐朽性の評価方法として日本の公的規格にも採用されるなど,野外試験に比較して実用的な結果が短時間で得られる手法とされている。本研究では,通常のファンガスセラー試験において,目視による評価,質量減少率の定期的かつ継続的測定を行うことにより,高耐朽性樹種のより詳細な耐朽性の評価を試みた。試験の結果,高耐朽性樹種は比較的高い耐朽性を示したが,イペ,ブラウナが高い耐朽性を示したのに対し,キャブレーバ,ジャラは低い耐朽性を示すなど,その耐朽性には樹種間で相違が見られた。ヒノキ心材にはスギ心材と同程度の耐朽性を示すものもあり,耐朽性が求められる構造材料として使用する場合には,保存処理等の配慮が必要であることが示唆された。本報告のファンガスセラー試験は,質量減少率も耐朽性判断の指標として利用しており,従来の目視による被害度に加え,腐朽の状況をより詳細に評価できる方法であることが示唆された。