閉鎖孔ヘルニア (以下, 本症) は比較的まれで, 死亡率の高い疾患である.しかし近時, 本症の概念の浸透に伴い, 術前診断率は向上し, 今後, 本症の非観血的整復術 (以下, 本整復術) の正否が問われるようになると考えられる.今回われわれは, 本整復術の1例を経験したので, 報告するとともにその適応についても若干の文献的考察を加えた.患者は84歳, 女性.突然の腹痛と右大腿部痛を訴え救急外来を受診した.閉鎖孔ヘルニアを疑い, 腔診と骨盤部computed tomographyを行ったところ, 右閉鎖孔部に一致して腫瘤像を認めた.本症と確定診断し経腟的に整復術を試みたところ, 症状は劇的に改善し, 閉鎖孔を触れるようになった.その後, 待期的に開腹術を施行したところ, 小腸には循環障害を認めず, また閉鎖孔以外に責任病変は認められないため, 腸管切除することなく閉鎖孔を閉じ手術を終了した.