近年、琵琶湖の南湖をはじめ、霞々浦や相模湖など多くの湖沼や水道水源地において、人間活動に付随すると富栄養化問題となり、ラン藻類、特にかび臭物質を産生するラン藻の発生が憂慮されている。琵琶湖を水源とする大津、京都、大阪、神戸など関西の各都市の水道では、同湖で毎年発生するラン藻、すなわちAnabaena macrospora{ジオスミン(geosmin)を産生}やPhormidium tenue, Oscillatoria tenuis{2-メチルイソボルネオール(2-methylisoborneol, MIB)を産生}などが作り出すこれらのかび臭物質(ジオスミンまたはMIB)による水道水の異臭味が大きな問題となっている。こうした水圏環境における異臭味は世界各地でも問題となり、近年この問題に関する国際シンポジウム(International Symposium on Off-Flavors in the Aquatic Environment)が開かれるようになり、1982年6月には第1回(ヘルシンキ)、1987年10月には第2回(鹿児島)、そして1991年3月には第3回(ロサンゼルス)のシンポジウムがそれぞれ開催された。しかしこうしたラン藻が異常増殖する要因はまだ明らかではない。そのためかび臭物質を産生するラン藻類の発生を予測あるいは抑制する情報に関する研究は強い要請があるにもかかわらずあまり進展をみていない。