線 溶 系 は, 血 管 内 に生 じた 血 栓 の溶 解 が 主 た る作 用 で あ るが, そ の他 に も血管 新 生, 排 卵, 組 織 修 復, 癌細 胞 の転 移 な ど, 組 織 中 で お こ る種 々 の 反応 に関 わ って い る. そ の 反 応 とは, プ ラ ス ミノゲ ンア ク チベ ー タ(PA)が プ ラ ス ミ ノゲ ン を活 性 化 して プ ラ ス ミン と し, 生 じた プ ラス ミンが フ ィ ブ リ ンや 組織 蛋 白 を分 解 す る反 応 で あ る(Fig. 1). 1940年 代 後 半 か ら1950年 代 にか けて, 組 織 や 組 織 抽 出 液(1947年Astrupら), 尿(1951年Williamsら), 血 液 中 (1951年Lewisら)に, プ ラ ス ミノゲ ン を活 性 化 す る物 質, つ ま りPAが 存 在 す る こ とが 明 らか に され た. 1960年 代 後 半 か ら は, PAに は分 子 量 も機 能 も異 な る2種 類 が 存 在 す る こ とが 明 らか に な り, 1980年 にCollenが 尿 由来 の もの を ウ ロ キ ナ ーゼ 型PA(u-PA), 組 織 由 来 の もの を組 織 型 PA(t-PA)と そ れ ぞれ 命 名 した. 2) 分 子構 造1) t-PAは, 分 子 量72,000の 一種 の セ リン蛋 白分 解酵 素 で, 530個 の ア ミノ酸 よ りな る一 本 鎖 糖 蛋 白質 で あ る. 分 泌 時 に32個 か らな るleader sequenceが 切 られ る. t-PA分 子 内 に は, 35個 の シス テ イ ン残 基 を もち, 17個 のS-S結 合 を形 成 して い る. 糖 含 有 量 は約7%で あ る. 一 本 鎖t -PAは, Fig . 2の 矢 印 で 示 したArg275-Ile276の 部 分 が プ ラ ス ミンで切 断 され, 二本 鎖t-PAと な る. 一 本 鎖 t-PAは, プ ラス ミノ ゲ ンやu-PAの よ う な不活 性 型 で はな く, 活 性 や フ ィ ブ リン親 和 性 を もっ た活 性型 プ ロテ アー ゼ で あ るが, 二 本 鎖t-PAと はか な り異 な った 性 質 を もつ こ とが知 られ て い る. t-PAの プ ラ ス ミノゲ ン活 性 化 能 は, フ ィ ブ リ ンの非 存在 下 で は二 本 鎖 型 の ほ うが 数倍 大 きい. しか し, フ ィブ リン に よ るt-PAの 活性 増 強効 果 が 一 本 鎖 型 の ほ うが よ り強 く 現 れ るた め, フ ィ ブ リン存 在 下 で は両 者 は ほぼ 同等 の活性 を示 す. 一 本 鎖 と二 本 鎖t-PAと の 間 に は立 体 構 造 上 か な りの 違 い が あ る もの と考 え られ る. 1次 構 造 はFig. 2に 示 す よ うに, N末 端 か らフ ィン ガー ドメイ ン, EGF (epidermal growth factor)様 ドメ イ ン, ク リン グル1(K1)ド メ イ ン, ク リ ン グル2(K2)ド メ イ ンお よび セ リンプ ロ テ アー ゼ ドメ イ ンか らな る. フ ィ ンガー ド メイ ンは フ ィブ リン との 結合 部 位 とし て, また 一本 鎖t-PA のPAI-1と の結 合 部 位 と して 重 要 で あ る. EGF様 ドメ イ ン はTyr67を 中心 と した3~8個 の ア ミノ酸 が 肝 実 質 細 胞 に よ るt-PAの 代 謝 に関与 す る と考 え られ て い る. K1ド メ イ ンの 機 能 に つ い て は不 明 で あ るが, K2ド メ イ ン は フ ィ ブ リン結 合 能 に重 要 で あ り, また 二 本 鎖t-PAとPAI-1と の 結合 に も関 与 して い る. ち な み に, ク リング ル ドメ イ ン はu-PAの 中 には1個, プ ラ ス ミノゲ ン中 に は5個, リポ蛋 白(a)分 子 中 に は38個 存 在 す る. セ リ ン プ ロ テ アー ゼ ド メ イ ン に はHis322, Asp371, Ser478か ら構 成 され る活 性 中 心 が存 在 し, プ ラス ミノゲ ン の 活性 化(限 定 分 解)に 重 要 で あ る. この部 位 は, 他 のセ リ Fig. 1 フ ィ ブ リン溶 解(線 溶)機 序.