1.まえがき 食の安全は我々が生活していくうえで重要な問題であ る.現在普及している食品の殺菌方法には加熱殺菌,化 学殺菌及び紫外線殺菌等があるが,これらの殺菌方法に は食品の風味の変質,薬物の残留や殺菌効率が悪いなど の問題点がある.そこでこのような問題のない殺菌方法と して近年パルス電界を用いた殺菌が注目を集めている . パルス電界殺菌の原理は細菌の細胞膜破壊によるもので あるため非加熱で殺菌でき,加熱殺菌のように食品の風 味を損なわず,また化学的な影響もない.パルス電界殺 菌は食品内部に空気を含有していない食品の殺菌に適し ており,実際にジュースや牛乳のような液体食品にパル ス電界を適用し殺菌を行った例もある 4, . 細胞は電気的には細胞膜が絶縁物,細胞質が導電体と なるため電気的な等価回路で表すことが可能であり,図 1 のような原核細胞の場合,細胞膜はコンデンサ,細胞 質は抵抗とみなす事ができる .したがって微生物が含 まれる液体に電圧を印加すると微生物の細胞膜には電荷 が蓄積され,細胞膜の内部と外部で電位差が生じる.生 じる電位差 Vm は式(1)のように示される. パルス電界殺菌における選択殺菌条件の調査 齋藤 高輝,南谷 靖史 ,小松 恵徳 (2016年9月29日受付;2017年1月19日受理) Investigation of Selective Sterilization Condition by Pulsed Electric Field Sterilization Koki SAITO, Yasushi MINAMITANI 1 and Yoshinori KOMATSU (Received September 29, 2016; Accepted January 19, 2017)