東部太平洋のガラパ ゴスベ ン トに始 まる特異 な深海 底生物群集に関する調査は,地 球化学 ・物理,海 洋生 物な どの広い自然科学分野の注 目を集 めている.こ の ような興味深い知見の集積 は種々の作業能力を備 えた 深海潜水調査船 の発達によるところが大 きい.日 本で も,1984年 一1985年 に 日仏海溝計画 でフランスの 「ノ チール」に よる調査が行われ,ま た,海 洋科学技術セ ンターの 「しんかい2000」 により初島沖 シロウ リガ イ 群集 の総合調査が進め られている.さ らに,最 大潜航 深度6500mの 潜水調査船が就航することか ら,今 後は 世界の海底の98%に およぶ調査能力 を持つ ことにな り, 当該分野の研究発展 もおおいに期待 される.一 方,こ のような生物群集の構成要素である生物各種 について の分類学的知見 は十分 とはいえず,生 理 ・生態学的研 究 とも並行 して早急にかたずけておかな くてはな らな い問題の一つ とな っている.分 類学的研究 の必要性は, 海洋島のように散在 する特異な生物群集の分布状況や 世界の各海域 に存在 する群集の歴史的発展過程の解明 など,今 後の研究テーマを考えた場合に も理解 される ものであろう. 筆 者 は,1987年11月19日 「しんか い2000」 に搭乗 し, 相 模 湾初 島 沖,水 深1170mに 潜 水 し,シ ロ ウ リガ イ群 集 を実際 に観 察 す る こ とが で き た.こ のDive 315に よ る採 集生 物 以 外 に も,日 仏海 溝 計 画 で採 集 され た 多毛 類 や 「しんか い2000」 に よ り初 島 沖 で採 集 され た種 々 の 生物 を研 究 す る機 会 を得 たの で,そ の概 要 を口頭 で 発 表 した.そ の 内容 に関 して は,既 報(三 浦,1988) もあ る ので,こ こで は特 に,多 毛類2種 と橈脚 類 につ い て概 説 す る. 1, Protomystides hatsushimaensis MIuRA, 1988 (Fig. 1, a-d)