は じめ に 我が 国 で最 も受療率 の高 い高血圧 症 は,脳 血管 障害 や 心疾 患,腎 疾 患 な どを引 き起 こす 重要 な危 険 因子 で ある。 降圧 治療 が,こ れ らの脳 心血 管系 臓器 にお け る 合併 症 の発症 を確 実 に予 防 し,そ れ に よ る死亡率 を低 下 させ る こ とは,こ れ までの 多 くの報 告 で明 らか に さ れて い る。 高血圧 の 治療 にっ いて は,WHO/国 際高 血 圧 学会(ISH)1)お よびア メ リカ合 同委 員会 第6次 勧告 (JNC-VI,1997)の ガ イ ドライ ン2)で も,食 事 療法 が 高 血圧 の治療 の 第1段 階 として位 置づ け られ てい る。欧 米 で は1日6g以 下 の食塩 制 限 が推 奨 され て い るが, 我 が国 の食事 では 同程 度 の食塩 制 限の継 続 は極 め て難 しい。 ア メ リカ合 同委 貝会 で は,ナ トリウム制 限 に加 えて1日3。5gの カ リウム(K)の 摂 取推進,カ ル シ ウ ム(Ca),マ グネ シウム(Mg)の 適量 摂取 を推 奨 して い る。 食塩 制 限 は単 独 で もあ る程 度 の降圧効 果 が認 め られ てい る3~4が,食 塩 感受 性5)の 問題 もあ って,必 ず しも食塩 制 限が 有効 とは限 らず,む しろ低 食塩 に加 え て,K摂 取 量 を増や してNa/K摂 取 比率 を低 下 させ る こ とが,降 圧 に よ り効 果 的で あ る こ とが 報告6>さ れて いる。我 々 もこれ までに ヒ トを対 象 とした臨床研 究 で, K負 荷 に よ る血 圧 降下 を認め,食 塩摂 取 の絶対 量 よ り もNa/K比 が重 要 であ る と指 摘 して きた7)8)。またK には 降圧 のみ で な く脂質 代謝 改善 作用 の あ るこ とを, 若 年 者 な らび に 中高 年 者 に つ い て そ れ ぞ れ 報 告 し た7)8)。一方,Mg負 荷 がMg欠 乏 者に対 して,降 圧 作 用 を有 す る9)10)ことや,血 清 コ レス テ ロー ル低 下 作 用11)の あ る こ とが報 告 されて い る。我 々 もMgに つ い て も血圧 降下 の み な らず,脂 質代 謝 改善 をこれ までに 報告 して きた12)13)。 近 年,ヘ ル シ ンキ大学 カルパ ネ ン博士 に よ り開発 さ れ た ミネ ラル 調整塩 は,普 通 の食塩 に比 して塩 化Na の含有 量 が少 な く,食 塩 に殆 ど含 まれ て いな いK塩 Mg塩 をそれ ぞれ含有 して い る。 我々 は これ まで に高 K食,高Mg食 の 降 圧効 果 をそ れ ぞ れ 別々 に 臨 床 研 究7)8)王2)13)を 行 い,そ の効果 を証 明 して きたが,有 効 な 降圧 効果 を有 す るこれ ら3つ の要素 一低Na塩 高K, 高Mg一 を同時 に含有 す る ミネ ラル調 整塩 を,日 本 人 の 食生活 に取 り入 れ るこ とが で きれば極 め て有用 であ る と考 え,以 下 の検討 を行 った。 1 摂 取 す る食事 を一 定 に した 厳 重 な食 事 管 理 下 で,調 味料(塩 醤油,み そ)を ミネ ラル調整 塩 に変 えた時 の電解 質 出納 を検 討 した14)。 2 従 来 の調味料 を,ミ ネ ラル調整塩 調 味料 に変 え て 長期 間使 用 し,血 圧,血 清脂 質,尿 中電解 質 排泄 量 な どに及 ぼす影 響 を検 討 した15)。 3 ミネ ラル調整塩 調 味料 の塩 味,う ま味 風 味 に つ いて官能 検査 を行 っ た14)。